INTERVIEW #02
開始から半年でローンチを迎えた
スピードプロジェクト
株式会社ウィファブリック
代表取締役 福屋剛 氏
開始から半年でローンチを迎えた
スピードプロジェクト
株式会社ウィファブリック
代表取締役 福屋剛 氏
パンデミック後、3,000億円以上ものキャンセルが出たと言われるバングラデシュのアパレル製造業。キャンセルされた衣料品の山をアップサイクルすべく名乗りを上げたのは、SMASELL(スマセル)を運営する、株式会社ウィファブリックでした。
2023年春、「世界を舞台に活躍する日本人デザイナー yoshiokubo(ヨシオクボ)が、バングラデシュのキャンセル在庫をリデザインし、日本のマーケットに届ける」というプロジェクトがスタート。
第2回の今回は、バングラデシュの現状を知った株式会社ウィファブリック代表の福屋が何を考え、どう動いたのかを追っていきます。
2023年春、「世界を舞台に活躍する日本人デザイナー yoshiokubo(ヨシオクボ)が、バングラデシュのキャンセル在庫をリデザインし、日本のマーケットに届ける」というプロジェクトがスタート。
第2回の今回は、バングラデシュの現状を知った株式会社ウィファブリック代表の福屋が何を考え、どう動いたのかを追っていきます。
『2月、調べていくうちに「これはまずいな」と思った』
─株式会社わんピースの山口社長から話を聞いたとき、すぐにこのプロジェクトを思いつかれたのでしょうか?
福屋:いえ、そういうわけじゃありません。山口さんからバングラデシュのキャンセル在庫について聞いた時点ではバングラデシュに関する知識がほとんどなかったので、まずバングラデシュの現状を調べることにしました。様々なニュースやデータを確認していく中で、想像を超える量のキャンセルがあったことにショックを受け、「これはまずいな」と痛感したんです。アパレル製造業はバングラデシュの主要産業。そのダメージは日本の私たちの想像を超えるだろうなと。
株式会社ウィファブリックの理念は、「ファッションをもっと楽しく持続可能なものに」することであり、そのためにサスティナブルアウトレットモールである「SMASELL(スマセル)」を運営しています。これは、会社として取り組むべき課題だろうと感じました。
─株式会社わんピースの山口社長から話を聞いたとき、すぐにこのプロジェクトを思いつかれたのでしょうか?
福屋:いえ、そういうわけじゃありません。山口さんからバングラデシュのキャンセル在庫について聞いた時点ではバングラデシュに関する知識がほとんどなかったので、まずバングラデシュの現状を調べることにしました。様々なニュースやデータを確認していく中で、想像を超える量のキャンセルがあったことにショックを受け、「これはまずいな」と痛感したんです。アパレル製造業はバングラデシュの主要産業。そのダメージは日本の私たちの想像を超えるだろうなと。
株式会社ウィファブリックの理念は、「ファッションをもっと楽しく持続可能なものに」することであり、そのためにサスティナブルアウトレットモールである「SMASELL(スマセル)」を運営しています。これは、会社として取り組むべき課題だろうと感じました。
『3月、パリコレデザイナーの久保氏が加わった』
─今回のアップサイクルプロジェクトは、パリ・コレクションで活躍するデザイナーである「yoshiokubo(ヨシオクボ)」の久保嘉男氏あってのプロジェクトだと思いますが、どんな経緯で参加されることになったのでしょう?
福屋:山口さんからバングラデシュの現状を聞いたのが2023年の2月頃なんですが、実はその少し前に「SMASELL MAGAZINE(スマセルマガジン)」で久保さんにインタビューをしているんです。その際、2013年にバングラデシュで起きたラナプラザの崩落事故(※1)の話もされていて、久保さんご自身が衣類の大量生産や廃棄といった問題に危機感を持ってらっしゃるのが、ひしひしと伝わって来ました。
作り手であるデザイナーにとって、苦労して世に送り出した服が雑に扱われることは耐え難いことだと思います。それはもう、僕よりもずっと切実だと思うんですよね。
なので、山口さんからバングラデシュの現状を聞いたとき、久保さんに情報共有をしたのはごく自然な流れでした。それからは、何か新しい情報が入ると山口さんがグループLINEで共有してくれて。週に数回以上やり取りしていたと思います。
久保さんは、インタビュー時に「アップサイクルプロジェクトやデザインについての発信など、何らかの形で一緒に取り組んでいけたら」とおっしゃってくださっていたので、早速そのチャンスが訪れたという感じでした。
『4月、10万人のフォロワーがいる三條場氏が加わった』
─神がかったタイミングで久保氏が参加されたんですね。20~30代女性に絶大な人気を誇るインフルエンサーの三條場夏海氏が参加されたのも、同じような巡り合わせだったんですか?
福屋:いえ、三條場さんには正式にオファーをして加わってもらいました。というのも、いざアップサイクルプロジェクトを始めようとキャンセル在庫の衣料品と向き合ったところ、ほとんどがレディースなんです。リデザインや再加工の手間を考えると、デザインし直して出来上がるものもレディースになります。
そこで、「おじさん3人で考えているよりも、実際にその服を着てくれる人の意見が大事だよね。その人から発信してもらえたら、届けたい人に届けやすくなるよね」ということになり、三條場さんにお願いすることにしました。
元「BEAMS」プレスであり、現在は自身のブランド「Gajess(ガジェス)」のディレクターを務める三條場さんのInstagramフォロワー数は10万人以上。雑誌をはじめとするメディアに登場されることも多いので、発信力が違います。また、シンプルな着こなしが得意な三條場さんから、リアルクローズとして使えるようにするための良いアドバイスをいただけるのではと考えました。
─今回のアップサイクルプロジェクトは、パリ・コレクションで活躍するデザイナーである「yoshiokubo(ヨシオクボ)」の久保嘉男氏あってのプロジェクトだと思いますが、どんな経緯で参加されることになったのでしょう?
福屋:山口さんからバングラデシュの現状を聞いたのが2023年の2月頃なんですが、実はその少し前に「SMASELL MAGAZINE(スマセルマガジン)」で久保さんにインタビューをしているんです。その際、2013年にバングラデシュで起きたラナプラザの崩落事故(※1)の話もされていて、久保さんご自身が衣類の大量生産や廃棄といった問題に危機感を持ってらっしゃるのが、ひしひしと伝わって来ました。
作り手であるデザイナーにとって、苦労して世に送り出した服が雑に扱われることは耐え難いことだと思います。それはもう、僕よりもずっと切実だと思うんですよね。
なので、山口さんからバングラデシュの現状を聞いたとき、久保さんに情報共有をしたのはごく自然な流れでした。それからは、何か新しい情報が入ると山口さんがグループLINEで共有してくれて。週に数回以上やり取りしていたと思います。
久保さんは、インタビュー時に「アップサイクルプロジェクトやデザインについての発信など、何らかの形で一緒に取り組んでいけたら」とおっしゃってくださっていたので、早速そのチャンスが訪れたという感じでした。
『4月、10万人のフォロワーがいる三條場氏が加わった』
─神がかったタイミングで久保氏が参加されたんですね。20~30代女性に絶大な人気を誇るインフルエンサーの三條場夏海氏が参加されたのも、同じような巡り合わせだったんですか?
福屋:いえ、三條場さんには正式にオファーをして加わってもらいました。というのも、いざアップサイクルプロジェクトを始めようとキャンセル在庫の衣料品と向き合ったところ、ほとんどがレディースなんです。リデザインや再加工の手間を考えると、デザインし直して出来上がるものもレディースになります。
そこで、「おじさん3人で考えているよりも、実際にその服を着てくれる人の意見が大事だよね。その人から発信してもらえたら、届けたい人に届けやすくなるよね」ということになり、三條場さんにお願いすることにしました。
元「BEAMS」プレスであり、現在は自身のブランド「Gajess(ガジェス)」のディレクターを務める三條場さんのInstagramフォロワー数は10万人以上。雑誌をはじめとするメディアに登場されることも多いので、発信力が違います。また、シンプルな着こなしが得意な三條場さんから、リアルクローズとして使えるようにするための良いアドバイスをいただけるのではと考えました。
『7月、アップサイクルプロジェクト製品、発売開始!』
─最初にバングラデシュの実情を聞いてから視察旅行まで凄いスピード感ですね。そして、プロジェクト始動から半年も経たずに、商品発売を迎えると。
福屋:スピード感を持ってここまで進めることができました。2023年秋ごろには今プレジェクトに賛同いただける方々から購入予約が取れるようにはしていき2023年12月頃にはキャンセルされ行き場を失った商品が生まれ変わったものをお届けしていきたいと思います。現状10型前後のアイテム展開を考えており、関東や関西圏で実際に手に取って見て頂くためのPOP UP SHOPも開催したいとは考えてます。おかげさまでファッション誌やビジネス誌等にも数多く取り上げて頂く機会をいただき世間の注目に応えていかないといけないと痛感してます。
─福屋社長、ありがとうございました。奇跡的な巡り合わせとスピード感に、あらためて驚ろかされました。経緯だけを見た人は「なんて運が良いプロジェクトなんだ」と思うかもしれませんが、実際にお話をお聞きしてみると、運の良さを形にしたのは福屋社長の人柄なのだろうと感じます。
初めて会った相手にもオープンで、相手を否定しない。取り入れられるものを柔軟に吸収しながら、周りを冷静に見て不要なものに執着しない。そうした姿勢は、誰もが持てるものではないからこそ、福屋社長の目の前にはタイミング良く選択肢が用意されるのかもしれません。
続く、シリーズ第3回では、デザインを手がけた「yoshiokubo(ヨシオクボ)」のデザイナー久保氏にインタビュー。20年以上に亘ってファッション業界を見つめて来たデザイナーの目に今のファッション業界はどう映っているのか、どんな思いでこのプロジェクトに参加したのか、気になる疑問をぶつけます。
※1 2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊にあったラナプラザビルが崩落し、少なくとも1,132人の死者、2,500人以上の負傷者が出た事故。負傷者の多くはビル内の縫製工場で、世界的なファストファッション企業の製造に携わっていた。低賃金かつ劣悪な労働環境の下、労働組合の結成も認められていなかったと言われる。
文:松山あれい
─最初にバングラデシュの実情を聞いてから視察旅行まで凄いスピード感ですね。そして、プロジェクト始動から半年も経たずに、商品発売を迎えると。
福屋:スピード感を持ってここまで進めることができました。2023年秋ごろには今プレジェクトに賛同いただける方々から購入予約が取れるようにはしていき2023年12月頃にはキャンセルされ行き場を失った商品が生まれ変わったものをお届けしていきたいと思います。現状10型前後のアイテム展開を考えており、関東や関西圏で実際に手に取って見て頂くためのPOP UP SHOPも開催したいとは考えてます。おかげさまでファッション誌やビジネス誌等にも数多く取り上げて頂く機会をいただき世間の注目に応えていかないといけないと痛感してます。
─福屋社長、ありがとうございました。奇跡的な巡り合わせとスピード感に、あらためて驚ろかされました。経緯だけを見た人は「なんて運が良いプロジェクトなんだ」と思うかもしれませんが、実際にお話をお聞きしてみると、運の良さを形にしたのは福屋社長の人柄なのだろうと感じます。
初めて会った相手にもオープンで、相手を否定しない。取り入れられるものを柔軟に吸収しながら、周りを冷静に見て不要なものに執着しない。そうした姿勢は、誰もが持てるものではないからこそ、福屋社長の目の前にはタイミング良く選択肢が用意されるのかもしれません。
続く、シリーズ第3回では、デザインを手がけた「yoshiokubo(ヨシオクボ)」のデザイナー久保氏にインタビュー。20年以上に亘ってファッション業界を見つめて来たデザイナーの目に今のファッション業界はどう映っているのか、どんな思いでこのプロジェクトに参加したのか、気になる疑問をぶつけます。
※1 2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊にあったラナプラザビルが崩落し、少なくとも1,132人の死者、2,500人以上の負傷者が出た事故。負傷者の多くはビル内の縫製工場で、世界的なファストファッション企業の製造に携わっていた。低賃金かつ劣悪な労働環境の下、労働組合の結成も認められていなかったと言われる。
文:松山あれい
PHOENIX LAB. PROJECT
メンバー
メンバー
-
久保 嘉男
yoshio kubo デザイナー
groundfloor代表 -
山口 悠介
株式会社わんピース代表
-
福屋 剛
SMASELL
WEFABRIK代表 -
三條場 夏海
Gajess
ファッションインフルエンサー -
近藤 昌平
RADIMO代表
今プロジェクトの支援について
SMASELLの理念である『ファッションをもっと楽しく持続可能なものに』実現に向けて、アパレル業界で課題となっている廃棄課題に対して業界全体で真摯に取組むことで、ファッション本来の楽しさを再生させるとともに、環境にも業界にも負荷をかけない持続可能な社会システムの実現を目指してまいります。
yoshiokubo × SMASELL
Yoshiokuboによる今プロジェクト直筆ラフデザイン